
ここでは七五三当日のスケジュールのお話をします。「七五三実施日の決定」の時と同様に、基本原理は「子どもの顔を思い浮かべること」。子どもが疲れないかな?がんばれるかな? という大人の配慮が大前提になるという話と、その具体的な実践の話になります。
基本は午前中
結論から言ってしまうと、七五三とその撮影は「午前中に終わらせる」、これが基本的な考えです。
08:00 お支度
10:30 移動
11:00 ご祈祷
11:30 撮影
12:30 終了
非常にシンプルな当日スケジュールの設定ですが、ここには意外なほどあらゆる要素が詰まっています。
子どもの生活リズムに合わせる
例えば3歳の状況を考えてみます。クラクラではまずこう聞きます。
「子どもは普段、何時に起きますか?」
大抵の場合、普段は保育園か幼稚園に通っているでしょう。そしてお昼ご飯を食べたら、お昼寝をするというルーチンがある。あくまでこの日常のリズムを崩さずにやるのがいいでしょう。まずはこの「当たり前」をたたき台にして、当日のスケジュールを考えていきます。子どもの心と体にとっての最適解は何なのか、ということです。
逆に言えば、例えば、もっと遅い時間に撮影をするとしましょう。当然、昼食やお昼寝の時間がずれることになり、子どもは疲れる、眠くなる、グズることは容易に想像できます。それを想像し、いかに子どもが良い状態で七五三に参加させられるかがポイントです。
もちろん子どもの生活リズムは、家庭によって少しずつ異なる、七五三の中身もそれぞれでしょう。でも土台は子ども重視の「午前中スケジュール」にして、そこから調整を加えていく形が無難であるように思います。
午前中に必ずやってください、というわけではありません。もし、午後のほうが子どもが調子が良いという、親にしかわからない感覚があれば、それを元にスケジュールを組むと良いでしょう。大事なのは常に子どもの状態を気に掛けるという、当たり前のことなのです。
ただ実際問題、午後からお支度を開始した場合どうなるか?撮影が15~16時開始となり、日照条件的に外での撮影はかなりリスクがあると言わざるを得ない。あるいは、急いでやるバタバタ感が写真に影響してしまうかもしれない。そうなると、ロケ撮ではなくスタジオ撮影も視野に入れたほうが良いということになります。子どもの条件によっては撮影スタイルも変わりうるということです。何がしたい、というよりは、何が最適なのか、を考えてください。子どもにとって午後が良いと思ったら、徹底してそれが可能な形を模索します。日照問題に関しては、月が遅くなればなるほど、日が落ちるのは早くなりますから、午後がいい場合は、実施月を少しでも早めるという選択もあります。
お支度時間が鍵
七五三全体を考えた場合、意外なことにその全体の時間の半分以上は「お支度時間」です。着物を着る、ヘアメイクをする時間です。これも当たり前なことではあるのですが、多くのお客さんは見落としています。
・着物の着付け(30分)
・ヘアメイク(30分)
ざっくり言って一人当たり最低でもこれだけの時間がかかりますので、その認識をしっかり頭に入れておきましょう。
では、「主役が3歳女の子で、そのお母さんもお支度をするケース」を見てみましょう。あなたならどうしますか?
その子は人見知りでも、着物が嫌というタイプでもないとします。だから早く着物が着たい!と言います。よかったねと、まずその子が着物を着る。3歳はあっという間です。
「わーい、お姫様」
お母さんが着付けに30分。
「まだ?」
お母さんがヘアメイクに30分。
「もう脱ぎたい」
神社到着。
「早く帰りたい」
大人は言う。
「はい、笑って!」
これはナンセンスギャグではありません。実際の七五三に起こることです。
神社でよく見られる七五三ヒステリーは、元をたどれば「子どもが着物を着るタイミング一つ」に原因があるかもしれないのです。無駄に待たせ、疲れさせる。これは子どもが悪いのではなく、完全に大人の段取りミスです。たとえ子どもが「着物を着たい」と言ったとしても、子どもがその後どうなるかまで、想像できるかどうか。着物を着るのはそれだけで疲れるということをわかっておく。そして、「ママが終わったら着ようね?」という判断ができること。それによってその後の世界がどれだけ変わるかをイメージできるのではないでしょうか?
お支度は、基本的に子どもは後回しです。これは5歳と7歳も同じ。そして着物を着ている時間をなるべく短くしてあげること。そして本番でがんばれる状態にしてあげること。これが、「笑って!」などの声かけよりも本質的な「子どもへの寄り添い」だと思いませんか?そしてそれがつまりは七五三設計そのものなのです。
いってきます撮影
お支度は子どもが後回し、と言いました。
でも、そうしなくとも成功する方法が一つだけあります。それが非同伴型撮影「いってきます撮影」です。
子どもが先にお支度をする。そうしたら「いってきます」と言って、早々と母親を家に残し神社へ向かってしまう。カメラマンももちろん一緒に行く。父親が付き添えばなお安心。神社に到着したら、早速撮影する。流石に緊張はするでしょう。でも体力かなり余裕がある。丁度よいメンタルと、体の調子のまま、仏頂面でもない、ふざけてもいない、だらけてもいない、「ちゃんと撮る」がここで可能になる。
それだけではありません。一方の母親はどうか。子どもの世話から一時的に開放され、自分だけの時間でお家でゆっくりとお支度をします。文字通り身も心も整えて、七五三に参加する準備をする。
その後母と子は神社で合流します。子どもはきれいになった母親にここで初めて会う。母親は我が子ががんばっている姿を見る。そんな清々しい光景の後で、家族写真を撮る。それも七五三設計のクラシックな構造です。
結局のところ、思い出とか、楽しむためなどといった動機ではなく、子どものことを第一に考えることが結果的には美しい流れに繋がることがご理解いただけると思います。
移動について
徒歩、自家用車、タクシー、公共交通機関。目的地や距離によって移動手段は変わりますが、いずれにしても移動時間が長くなることはお勧めしません。子どもはそれだけで疲れるからです。
例えばタクシー。当日呼んでもなかなか捕まらなかったりもしますので、前もって手配しておいたほうが無難でしょう。必要に応じてGoogle Mapでルートも確認してください。
ご祈祷・休憩・撮影
神社に着いたらまずはご祈祷してください。もらった千歳飴を持って撮影できるから。なんて話ではありません。実際的には、初穂料を神社に収めた後に、神社という場所を借りて撮影するという意味合い。それから、ご祈祷後の姿を写真に収めることに意義があるという、カメラマンの感覚。そして、ご祈祷開始の時間を気にしていると、家族もカメラマンも撮影に集中できない。これらの理由があります。
さて、ご祈祷が終わりました。はい、早速撮影でしょうか?クラクラではいったん「休憩」をはさむことが多いです。子どもはご祈祷後は解放されたと思っています。そこで撮影するよ、はタイミング的に子どもは嫌がる。ここは焦らず子どもの様子を探る。まずは座って休憩です。この時大事なのが、予め用意する飲み物やお菓子。必須です。そして一息付けたらいよいよ撮影です。
いいでしょうか。ここまで「予め流れを考えておかないと」いけません。当日カメラマンがその場しのぎに子どもを笑わせることは意味がありません。それで済むと思ったら子どもを甘く見すぎています。一時的にはそれで笑ってくれるでしょう。でも、子どもはすぐに、ふざけて、疲れて、もう帰ると言い出します。だからその前に、いかに先手を打つか。子どもが自然に撮影に入れる流れをいかに作れるか。これが一番重要なのです。やってみるまでどうなるかわからないのが七五三。でも何も考えずに一生に一度の大事な瞬間を無駄にしてしまうのも勿体ないです。クラクラと一緒に考えましょう。

